一覧に戻る
Learn

なぜ今ステーブルコインが注目されるのか ― 概要、可能性、日本における普及への道筋、企業が今、注目すべき理由を解説

公開日
2026-04-30
更新日
2026-05-01
川口知宏

「ステーブルコイン」という言葉を耳にする機会が、ここ数年で一気に増えました。米国では大手決済事業者や小売業がステーブルコイン決済の導入を本格化させ、グローバルな送金・決済インフラとしての存在感を年々高めています。

日本でも、JPYC株式会社が資金移動業者としての登録を経て、2025年10月に改正資金決済法下の電子決済手段としてJPYCを正式に発行開始し、日本円建てステーブルコインの本格流通に向けた重要なマイルストーンを記しました。同時期には、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが共同でステーブルコインの発行・活用に向けた取り組みを公表しており、国内金融のメインストリームがこの領域に本格的に向き合い始めたことを示しています。

そうした動きのなかで、企業からの相談も「ステーブルコインとは何か」という入門的な問いから、「自社のどの業務に組み込めるのか」「導入する場合に何を押さえればよいのか」という実装寄りの問いへと、急速に重心が移ってきています。

本記事では、ステーブルコインがなぜ今これほど注目されているのか、日本における普及の可能性、そして企業が導入を検討するうえで押さえるべき論点を、できるだけ実務的な視点で整理します。

▼「ステーブルコイン」の関連記事はこちら

ステーブルコインとは何か ― 改めて押さえる定義

ステーブルコインとは、法定通貨や特定の資産を裏付けとして、価格の安定を目指して設計されたデジタルマネーの総称です。ビットコインやイーサリアムのように価格が大きく変動する暗号資産とは異なり、決済・送金・資金移動に使いやすい「価値の安定したトークン」として位置づけられます。

発行方式はいくつかありますが、現在のグローバル市場で中心となっているのは、米ドルや日本円などの法定通貨を裏付けとし、1対1の価値を担保する法定通貨担保型です。Circle社が発行するUSDC、Tether社が発行するUSDT、そして国内ではJPYC株式会社が発行するJPYCが、その代表例にあたります。

一方、ETHなどを過剰担保として価値を維持する暗号資産担保型としては、分散型金融プロトコルであるMakerDAO、現在のSkyが発行するDAIが代表例です。さらに、担保を持たずアルゴリズムで供給量を調整するアルゴリズム型もありますが、これは2022年のTerra/UST崩壊以降、信頼性に課題があると見なされており、企業導入の文脈ではほぼ検討対象から外れているのが実情です。

日本の改正資金決済法では、法定通貨を裏付けとするステーブルコインを「電子決済手段」として明確に定義し、発行体を銀行、資金移動業者、特定信託会社の3者に限定する枠組みを敷いています。発行体の健全性と利用者保護を法令で担保したうえで普及を進めるという点が、日本のステーブルコイン政策の特徴です。

なぜ今、世界中で注目されているのか

ステーブルコインへの関心が高まっている背景には、主に4つの理由が考えられます。

① 代替手段の登場により、既存決済インフラの非効率が見えやすくなった

国際送金やクロスボーダー決済は、長年にわたり銀行間ネットワークやコルレス銀行を経由する仕組みに支えられてきました。この仕組みは信頼性の高い金融インフラとして機能してきた一方で、着金までに時間を要すること、複数の仲介機関を経由すること、営業時間や国境をまたぐオペレーション上の制約を受けることなど、構造的な摩擦も抱えています。

これまでは、そうした摩擦があっても、他に現実的な選択肢が限られていたため、企業実務のなかでは「そういうもの」として受け入れられてきました。しかし、ブロックチェーン上で24時間365日、数秒から数分単位で価値を移転できる手段が現れたことで、既存インフラの非効率さが相対的に浮き彫りになっています。

世界銀行のRemittance Prices Worldwideによれば、国際送金の平均コストは依然として数%台で推移しています。B2B決済と個人送金は同じではありませんが、国境をまたぐ資金移動に構造的な摩擦が残っていることを示す参考指標としては示唆的です。

② 暗号資産市場内の待機資産から、デジタルアセット経済の決済インフラへ広がっている

ステーブルコインの役割も変化しています。かつては、暗号資産取引所内で価格変動を避けるための待機資産、あるいは暗号資産同士を売買するための媒介手段として使われる色彩が強いものでした。

しかし現在では、RWA、トークン化米国債、トークン化MMF、デジタル証券、オンチェーン担保管理など、より実務的なデジタルアセット経済のなかで、決済・受渡しのための共通レイヤーとして使われ始めています。

RWA.xyzによれば、2026年3月31日時点のトークン化RWAの分散型資産価値は267.1億ドル、ステーブルコイン全体の価値は2,993億ドル規模に達しています。これらの市場が同時に拡大していることは、ステーブルコインが単なる暗号資産市場内の補助的な存在ではなく、オンチェーン上で形成される金融・資産取引の決済基盤として位置づけられつつあることを示しています。

③ AIエージェント時代に、プログラム可能な決済手段が求められている

AIエージェントによる自動決済の登場も、ステーブルコインへの関心を高めています。

AIエージェントが外部API、データ、コンピューティングリソース、ソフトウェアサービスなどを自律的に利用する世界では、少額・高頻度・即時性のある支払いが発生します。従来のクレジットカード、請求書払い、銀行振込は、人間や企業組織が支払いを承認・処理する前提で設計されてきました。

一方、AIエージェントがプログラムから直接支払いを行う場面では、APIと接続しやすく、即時に処理でき、少額決済にも対応しやすい決済手段が求められます。GoogleがAIエージェント向け決済標準「AP2」を発表し、StripeやCoinbaseなども機械間決済やエージェント向けウォレットに関する取り組みを進めるなかで、プログラム可能な決済手段としてのステーブルコインの価値は改めて注目されています。

④ 制度整備が進み、保守的な企業も検討しやすくなっている

主要経済圏で規制枠組みの整備が進んでいることも重要です。

EUのMiCA、米国のステーブルコイン関連法制、香港のステーブルコイン条例など、各国・地域でステーブルコインを制度の外に置くのではなく、発行体、準備資産、利用者保護、AML/CFT、金融安定の観点から制度内に取り込む動きが進んでいます。制度上の位置づけが明確になることで、これまで慎重だった大企業や金融機関も、検討の俎上に載せやすくなっています。

この背景には、利用者保護や金融犯罪対策だけでなく、通貨主権をめぐる問題意識もあります。現在の主要なステーブルコインの多くは米ドル建てであり、ドル建てステーブルコインの拡大が、国際的なドル利用をさらに強める可能性があるとの見方があります。また、国によっては、外貨建てステーブルコインが広く利用されることで、自国通貨の利用や金融政策、為替管理に影響が及ぶことへの警戒もあります。

つまり、各国で法整備が急がれている背景には、イノベーションを取り込むだけでなく、自国通貨や金融システムへの影響をコントロールしたいという政策的な意図もあると見ることができます。

このように、ステーブルコインへの注目は、単なる暗号資産市場の盛り上がりだけでは説明できません。既存決済インフラの非効率が見えやすくなり、デジタルアセット経済での決済需要が広がり、AIエージェントによる新しい支払いニーズが生まれ、さらに各国の制度整備が進んでいる。これら4つの変化が重なったことで、ステーブルコインは企業実務の選択肢として現実味を帯び始めています。

日本におけるステーブルコインの現状

日本は2022年6月に改正資金決済法を成立させ、2023年6月に施行しました。これにより、法定通貨を裏付けとするステーブルコインは「電子決済手段」として位置づけられ、発行できる主体は銀行、資金移動業者、特定信託会社の3者に限定されました。また、これらを仲介する「電子決済手段等取引業者」という新たな業態も創設されました。

発行体の健全性と利用者保護を両立させる仕組みが法令上明確になったことで、国内の大手金融機関が参画しやすい土壌が整ったといえます。

こうした制度整備を背景に、国内では具体的な動きが次々と立ち上がっています。JPYC株式会社が発行する日本円連動型のJPYCは、当初は前払式支払手段としてスタートしたものの、資金移動業者としての登録を経て、2025年10月に電子決済手段として正式に発行が始まりました。

さらに2025年3月には、SBI VCトレードが国内初の電子決済手段等取引業者として、Circle社が発行する米ドル建てステーブルコインUSDCの取扱いを開始しています。

そして同時期に、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが共同でステーブルコインの発行・活用に向けた取り組みを公表したことは、特に重要な意味を持ちます。個別行ごとの実証から、業界横断での共通基盤形成へと視野が広がりつつあることを示しているからです。

発行体、流通基盤、取扱事業者が同時に厚みを増しているという点で、日本のステーブルコイン市場は新しい局面に入りつつあります。

日本企業がステーブルコインを活用できる領域

ステーブルコインを企業文脈で見るときに重要なのは、流行しているから導入する、あるいは暗号資産・Web3に関わるために使う、という発想から距離を置くことです。新しい技術を持つと、あらゆる課題がその技術で解けるように見えてしまうことがあります。しかし、ステーブルコインもあくまで手段であり、目的ではありません。

企業がまず考えるべきなのは、自社の課題解決手段として、どの業務の摩擦を下げられる可能性があるかです。

デジタルアセット経済全体でステーブルコインが決済インフラとしての役割を強めていることと、ある企業が導入してすぐに大きな成果を得られることは同じではありません。導入効果は、業務上の課題、取引相手、法規制、会計・税務、既存システムとの接続、内部統制の設計によって大きく変わります。

そのうえで、次のような課題を抱えている企業にとっては、ステーブルコインの活用を検討する余地があります。

  • 海外送金・クロスボーダー決済のコストやリードタイムが重い
  • グループ内精算、資金繰り、トレジャリー業務を抜本的に見直したい
  • AIエージェントや自動化システムの導入により、既存決済システムとの摩擦が顕在化している
  • RWA、デジタル証券、トークン化資産など、デジタルアセット関連事業を検討している
  • 海外フリーランス、クリエイター、開発者、サプライヤーなどへの支払いを効率化したい

このように、ステーブルコインは既存の業務プロセスをどう再設計するかという実務上の選択肢として捉えるのが適切です。

もっとも導入イメージを描きやすいのは、クロスボーダー決済・貿易決済です。海外子会社、海外委託先、海外サプライヤーとの資金移動は、為替手続きや営業時間、複数の仲介機関を経由するコストが構造的に積み上がる領域です。ドル建てステーブルコインや円建てステーブルコインを送金実行のレイヤーに組み込むことで、送金オペレーション全体を再設計できる可能性があります。特に、取引先が海外に分散している企業や、中小の輸出入事業者にとっては、価格競争力や資金繰りに影響しうるテーマです。

次に、グループ財務・トレジャリー業務です。グローバルに複数拠点を持つ企業では、グループ内精算、資金繰り、為替管理、支払タイミングの調整などに多くの実務負荷がかかります。将来的には、資金繰り予測や支払タイミングの最適化をAIが担い、実行レイヤーとしてステーブルコインを活用するという組み合わせも考えられます。これは、キャッシュマネジメントの高度化や、グループ内資金移動の効率化と相性がよい領域です。

AIエージェントや自動化システムによる決済も、今後拡大が見込まれる領域です。AIエージェントが外部API、コンピューティングリソース、データフィード、SaaS機能などを自動調達する世界では、少額・高頻度・即時性の高い支払いが発生します。従来の請求書払い、クレジットカード、銀行振込ではなく、プログラムから直接動かせる決済手段が求められる場面で、ステーブルコインは有力な選択肢になります。

そして、RWA・デジタルアセット事業における決済・受渡しです。米国債、MMF、社債、不動産、コモディティなどのトークン化が広がるほど、その売買、利払い、償還、担保管理における決済手段が必要になります。ステーブルコインは、成長するデジタル証券市場やRWA市場を支える決済レイヤーとして、重要な役割を担う可能性があります。

加えて、海外フリーランス、クリエイター、開発者、国際的な役務提供者への報酬支払いなど、従来の銀行送金では非効率だった領域にも活用余地があります。特に、少額かつ高頻度の支払い、相手先の国や地域が多様な支払い、既存の銀行ネットワークでは処理に時間やコストがかかる支払いでは、検討対象になり得ます。

要するに、ステーブルコインは「新しい決済手段」というより、業務実行レイヤーをアップデートする選択肢として捉えるのが、企業にとっては実務的な理解の仕方です。

日本での普及に向けた課題

日本では、改正資金決済法によってステーブルコインの法的位置づけが明確になり、発行体や取扱事業者の制度枠組みも整備されました。もっとも、制度ができたことと、企業が実務で広く使えるようになることは同じではありません。今後、ステーブルコインがさらなる普及を遂げるためのチャレンジとして、以下のような論点があげられます。

① 発行体・取扱事業者の層がまだ薄い

まず課題になるのは、発行体・取扱事業者の層がまだ十分に厚くないことです。

電子決済手段等取引業の登録は厳格なプロセスを要するため、現時点で取扱事業者は限定的です。ステーブルコインが実務インフラとして普及するには、発行体、仲介事業者、ウォレット事業者、決済事業者、会計・モニタリング関連サービスなど、周辺プレイヤーを含めたエコシステムが厚みを増す必要があります。

また、企業が実際に利用するには、自社だけでなく取引先も受け取り・保有・償還できる体制を持っている必要があります。利用可能な事業者や対応サービスが限られている段階では、導入できるユースケースも限定されます。

② 資金移動業型ステーブルコインには「100万円の壁」がある

企業利用を考えるうえでは、資金移動業型ステーブルコインにおける100万円の壁も避けて通れません。

日本では、資金移動業者が電子決済手段を発行する場合、第二種資金移動業の枠組みを用いることが想定されます。この場合、第二種資金移動業者には1件あたり100万円の送金上限があるため、発行・償還・移転にも100万円の制限がかかります。一方で、ウォレットに保有する電子決済手段の残高や、保有済みの電子決済手段を用いた決済額そのものには上限がないと整理されています。

この点は、個人向け・小口決済では大きな問題にならない場合もありますが、企業間決済、貿易決済、グループ内精算、RWAの受渡しなど、1回あたりの金額が大きくなりやすい用途では重要な制約になります。

特に、企業が円建てステーブルコインを実務に組み込む場合には、発行体の類型、送金上限、償還フロー、ウォレット間移転、取引モニタリング、AML/CFT上のリスク管理をセットで設計する必要があります。導入検討の段階では、「ステーブルコインを使えるか」だけでなく、自社の想定取引金額、取引頻度、相手先属性に対して、どの発行体類型・取扱スキームであれば実務上成立するかを確認することが重要です。

③ AML/CFTとトラベルルール対応が不可欠になる

ステーブルコインを実務で扱う以上、AML/CFTとトラベルルールへの対応も重要な前提になります。

ブロックチェーン上の取引は透明である一方、本人確認、取引モニタリング、制裁リスト対応、疑わしい取引の検知、トラベルルールへの対応には高度な技術と運用体制を要します。オンチェーン上で取引履歴を確認できることはメリットですが、それだけでAML/CFT対応が完結するわけではありません。

特に企業利用では、取引先の属性、取引目的、送金額、国・地域、ウォレットの管理主体などを踏まえたリスク評価が必要になります。ステーブルコインは即時性やグローバルな接続性を持つからこそ、従来の銀行送金とは異なるリスク管理が求められます。

④ 会計・税務処理の整理が必要になる

会計・税務処理も、企業導入を進めるうえで早期に整理すべき論点です。

ステーブルコインを保有・利用した場合の会計処理、法人税・消費税の取扱い、為替差損益の考え方などについては、実務上の論点が残ります。特に、決済手段として一時的に保有するのか、トレジャリー資産として一定期間保有するのか、RWAやデジタル証券の決済に使うのかによって、整理すべき論点は変わります。

企業が本格導入する場合には、監査法人、税理士、法務部門、経理部門と早期に整理しておくことが重要です。技術的に送金できることと、企業会計・税務上問題なく処理できることは別の論点です。

⑤ ウォレット管理や既存システム連携など、技術的な導入ハードルがある

実務実装の段階では、ウォレット管理や既存システムとの連携も大きなハードルになります。

ステーブルコインを業務に組み込むには、ウォレットインフラの整備、秘密鍵の安全な管理、権限設計、承認フロー、既存の基幹システムとの連携、取引履歴の記録、モニタリング体制など、高度な技術的課題が伴います。

特に企業利用では、「送れること」だけでは不十分です。誰が、どの権限で、どの金額を、どの相手先に、どの承認プロセスを経て送れるのかを設計し、監査可能な形で記録する必要があります。

また、既存のERP、会計システム、支払管理システム、取引先管理システムと接続できなければ、ステーブルコイン決済だけが業務から浮いてしまいます。実務導入では、オンチェーン取引と既存の業務システムをどう接続するかが重要な論点になります。

⑥ 利用者・取引先の理解と受け入れ体制が必要になる

技術や制度が整っても、利用者や取引先が受け入れられなければ、実際の利用は広がりません。

B2C領域で広げるには、UX/UI、既存決済手段との連携、信頼性の訴求、トラブル時のサポート体制といった観点で、心理的ハードルを下げる工夫が欠かせません。ステーブルコインという名称自体に暗号資産のイメージが伴うため、一般利用者にとっては、仕組みやリスクが分かりにくいという課題もあります。

企業間利用であっても、取引先がステーブルコインを受け取れる体制を持っていなければ、実務上の利用は広がりにくくなります。自社だけが導入するのではなく、取引先、金融機関、ウォレット事業者、会計・監査関係者を含めた業務設計が必要になります。

⑦ 日本円建てステーブルコインの市場形成には時間がかかる

最後に、日本円建てステーブルコインの市場形成という大きなテーマがあります。

現状では米ドル建てステーブルコインが圧倒的な流動性を持つ一方、日本円建ての流通量はまだ限定的です。国内経済圏での活用を広げるには、円建ての発行体・流通基盤の拡充と、実際の利用シーンの創出が並走して進む必要があります。

特に、日本国内の企業間決済や消費者向け決済で広く利用されるには、単に円建てステーブルコインが発行されるだけでは不十分です。利用できるウォレット、加盟店、取引先、償還手段、会計・税務上の処理、既存金融機関との接続が整うことで、初めて実務インフラとしての利用が広がっていきます。

以上のように、制度の整備はあくまで出発点にすぎません。今後ステーブルコインが日本で本格的に普及するには、発行体や取扱事業者の増加に加えて、企業が安心して使える業務・技術・コンプライアンスの実装基盤が整っていく必要があります。

企業導入で重要なのは「発行」よりも「業務実装」

ステーブルコインというテーマから、独自ステーブルコインの発行を連想する方もいます。しかし、多くの企業にとって、最初に考えるべきなのはそこではありません。

優先順位が高いのは、自社の業務にどう組み込むかです。

進め方としては、大きく3段階あります。

まず、どの業務で導入効果が出やすいかを見極めることです。海外送金、グループ内精算、AIエージェントでの活用、デジタルアセット決済、外部パートナーへの報酬支払いなど、自社の課題と照らし合わせて、ROIが見えやすいテーマから入るのが現実的です。

次に、法規制、会計、税務、内部統制、KYC/AML、ウォレット管理、承認権限などの業務設計を組み立てることです。ステーブルコインは技術的には即時に送金できるとしても、企業実務では、誰が送るのか、誰が承認するのか、どの取引先に送れるのか、どのように会計処理するのか、どのように不正送金を防ぐのかを設計しなければなりません。

そして、PoCを通じて技術・運用の両面で検証を積み重ね、本番実装へとつなげていくことです。構想だけでも、PoCだけでも足りません。社内業務とシステムをつないで初めて、本番導入が成立します。

まとめ

ステーブルコインは、単なる新しい決済手段ではありません。既存の送金・決済インフラでは扱いにくかった、即時性、プログラム可能性、グローバルな接続性を備えた業務実行レイヤーとして、企業活動の一部を再設計する可能性を持っています。

ただし、重要なのは「流行しているから使う」ことではありません。自社の業務のなかで、どの摩擦を下げられるのか。既存の決済手段では解きにくい課題が本当にあるのか。法規制、会計・税務、AML/CFT、ウォレット管理、内部統制まで含めて、実務として成立するのか。これらを冷静に見極める必要があります。

そのうえで、クロスボーダー決済、グループ財務、AIエージェントによる自動決済、RWA・デジタルアセット事業など、明確な課題とユースケースがある企業にとって、ステーブルコインは検討に値する選択肢になりつつあります。

企業に問われるのは、「どのステーブルコインを使うか」だけではありません。自社のどの業務に組み込み、どの基盤で、安全かつ統制された形で実行させるかを設計できるかどうかです。

その成否を分けるのは、技術単体ではありません。制度、業務、システム、統制を分断せず、一体で設計・実装できるかどうかです。

Gincoが支援できること

ステーブルコインの導入では、構想だけでも、開発だけでも足りません。制度対応、ウォレット設計、既存システム連携、内部統制まで含めて、一気通貫で設計することが重要になります。

Gincoは、エンタープライズ向けセルフカストディウォレット、ブロックチェーンインフラ提供、プロフェッショナルサービスを中核事業として展開しており、金融機関や事業会社向けのデジタルアセット導入を支援しています。

当社の強みは、事業構想から実装、運用設計までをつなげて支援できることにあります。ユースケース検討、法的整理、技術選定、ウォレットインフラ構築、既存システム連携、そして実運用で重要になる内部統制まで、ステーブルコインを実務に組み込むうえで欠かせない観点を一貫してご支援することが可能です。

自社でどこから着手すべきかを整理したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

参考ソース一覧

貴社のWeb3ビジネスやブロックチェーン活用、デジタルアセット活用戦略を、専門家チームが成功へと導きます。ウォレット基盤の構築から事業全体の構想まで、あらゆるフェーズでご相談ください。
無料相談を申し込む
この記事をシェアする
川口知宏
Gincoの事業戦略の策定・遂行を統括。Ginco入社以前は大手コンサルティング会社におけるブロックチェーン領域のGlobal Council APAC Leadおよび国内の関連コンサルティング業務をリード。INSEAD MBA。米国アクチュアリー会 正会員。
目次
  • content
  • content
シェア:

お問い合わせはこちら

CONTACT US
関連記事
ブログTOPに戻る
ホワイトペーパー
No items found.
No items found.
すべて見る
あなたのビジネスを進化させるパートナー
with
End-to-end blockchain solution backed by industry experience and support
Get More Information
ドキュメントを読む